マシンビジョン技術は将来の社会に欠かせない基幹技術としてさらなる発展と応用技術、産業の創生が期待されております。これまで直接的にマシンビジョン技術を利用されてきた業界のみならず、通信技術の発展により近年これまで関係のなかった分野、たとえば記憶に新しいスポーツの判定、AI制御による物流の自立制御などさまざまなイメージング技術と通信技術の融合によるマシンビジョンの深化が驚くほどの速さで進んできております。
一般社団法人日本インダストリアルイメージング協会はマシンビジョン業界の公正で公平な標準規格化の推進が関連技術と業界のさらなる発展を促進し、人類社会の未来に貢献できるという理念のもと、2005年に20社あまりの発起人企業により活動を始めました。
2006年4月には中間法人法に則り日本インダストリアルイメージング協会として正式に設立、その後の法改定により、一般社団法人として運営を続け、本年を持って18年の活動を重ねてきております。
設立当時のメンバー数20社から、2023年6月末では120社を超える会員企業にご協力をいただくようなり、また関連技術の広がりを示すようにメンバー企業の広がりも多岐にわたり、さまざまな分野での活動も欠かせなくなってきております。
活動開始以来、マシンビジョン業界に特化したカメラインターフェイスの専門委員会、カメラのプロトコルに関する専門委員会、照明やレンズ、カメラ仕様など撮像技術に関する専門委員会を立ち上げて活動するとともに、CoaXPress規格の高速伝送規格試験の定期的に開催し、また、ケーブル&コネクタ認証制度を設け、特殊環境での振動試験なども実施して、業界全体の規格の標準化推進に力点を置いて活動して参りました。
本年からは標準化委員会の元、統一して活動を行います。
また、2009年には日本のマシンビジョン市場のみならず、海外の類似する協会団体との連携が重要であるということを認識し、JIIAが音頭を取る形で、既に活動をしていた北米地区のAIA(現A3)、欧州地区のEMVAの3協会団体とアライアンスを締結(Global 3 Agreement)、業界標準化活動、及びその普及活動の一環として国内外のマシンビジョンに係わる会議、展示会に主導的立場で参加し、2015年ドイツ・VDMA、2019年中国・CMVUがG3の連携に加盟に至ったことは公平、公正な標準の実現に向けて前進していることの証といえることでしょう。
設立以来、マシンビジョン業界に特化した技術の標準規格化活動を推進して参りましたが、ここ数年は情報通信ネットワーク技術の進化に伴い、マルチメディアに応用されるマシンビジョン技術から取得されるデータの重要性、およびそのデータを利用したAIを含むコンピュータビジョンの応用などマシンビジョンの関わる範囲は一段と広がりを見せています。
この広がりに対応すべく、JIIAは2021年JIIA内に国際規格推進委員会を設置し、総務省認可団体の一般社団法人情報通信技術委員会(TTC)に参画し、情報通信技術の環境で利用されるマルチメディア応用専門委員会の傘下で、マシンビジョンサブワーキンググループ(MV SWG)を立ち上げ、リーダーとして公な立場での活動を行っています。
さらに、2022年からは総務省の承認、推薦の元、ジュネーブに本部を置く国連機関の一つである国際電気通信連合電気通信標準化部門(ITU-T)の日本国団の一員としてマシンビジョン技術を中心に国内外から提案、提示されてくる寄書(標準化提案)への対応等の活動を推進しています。JIIA発の標準規格がITU-Tで批准される日も迫ってきています。
JIIAの活動の成果はひとえに参画いただいた会員企業の皆様のひとかたならぬご支援の積み重ねの結果であり、同時に会員相互、あるいは他団体との交流にも支えられております。
マシンビジョン技術の広がりに合わせこの交流(つながり)も広がっております。JIIAは標準化を縦軸、交流(つながり)を横軸として益々広がるすそ野の未来を支える基盤となる公正で公平な標準化技術の推進に邁進して、広くマシンビジョン技術が国際社会に貢献できるように活動して参る所存です。
以上